JQ2のあとJS2?! [JJ1WTL]

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はじめに

コールサインは,再発給の場合は純アルファベット順.だから「再発給のJQ2」のあとは「再発給のJR2」にならないといけません――というのは,アマチュアなら万人が知るところでしょう.

ところが――


時系列にて

2007-11-30(金) その日は,全盛期を振り返る古い組織の飲み会を六本木〜麻布十番で終え,夜な夜な帰宅したのでした.

東海総通は,毎週――たまに隔週――の木曜日のデータで,コールサインの進捗を発表してくれます.
前々週:2007年11月15日のデータでJQ2XXJまで進んでいましたので,JQ2が終わり,「そろそろJR2に入ったかな?」と思ってWebをチェックしたら,とんでもないことが起こっていました:

...一気に酔いが覚めました.
発給状況が『JS2AAS』となっているではありませんか?!
JR2ではなく,JS2です.

Webが間違っているだけなのか;ほんとうにJS2を割り当ててしまったのか,この時点では不明でした.
とりあえず,この事実をblogにあげました.
2007-12-01(土) すると,「木曜に東海総通に電話で問い合わせました」と名乗るJE4TRBからメールをいただきました.
曰く,
結論として

JS2で間違いない」
とのことでした。

向こうの言い分ですが、
「「総務省通達でJQ2の次はJS2を発行するように」
とあったので、東海総通としてはそれに従うだけ。
私どもに聞かれても困る。」
だそうです。
...これを聴かされて,戦闘モードに突入です.
  1. 総務省の『識別信号の指定基準』には,「再割り当てのときはアルファベット順」と明記されています.そう,総務省通達では,JQ2の次はJR2なのです.JS2ではありません.
  2. 実際,関東総通は,JQ1の再割り当ての後は,JR1を再割り当てしています.
  3. とうの東海総通だって,JG2の再割り当ての後は,JH2を再割り当てしています.
    JH2をスキップしたわけではありません.
  4. もちろんJG1の再割り当ての後は,JH1の再割り当てが;JG3の再割り当ての後は,JH3の再割り当てがなされています.
    つまり,JHJRをスキップした前例は皆無なのです.
2007-12-02(日) 週明けに東海総通に電話しようと思ったのですが,
  1. 会社から(まじめに)公衆電話で掛けると,名古屋までの電話代は高いし(8J6URC騒動のときに九州総通に電話して度数の減り方の早さにびびった),
  2. 東海総通のメールの窓口:『東海総合通信相談所』が判ったし,
  3. 怒りはさめやらないので:-),
週末のうちにメールで投げ込むことにしました.
作戦は以下のとおりです:
     
  • 『識別信号の指定基準』(総務省訓令)を参照することで,アマチュア側の主張が正しいことの根拠を明示し,
  •  
  • さらに“東海は東海”に対抗するため,「でもJH2のときは再指定したでしょ」論を持ち出して,外堀を完璧に埋める.
  • メールは,無視されないよう「訓令違反について」という刺激的タイトルと,「提言」と取られないよう「質問」という「回答義務を生ずる位置づけ」で投げ込む.
結果,作文は以下のとおりとなりました(長文御免):
Subject: 質問:無線通信部陸上課における訓令違反について

東海総合通信局御中

貴 Web にあります「電子メールによるご相談・ご質問」を参照し,
以下のとおり質問させていただきますので,よろしくお願いします.

・問い合わせの内容
 無線通信部陸上課における訓令違反について

【中略】

●問題点
 アマチュア局の免許に際し,呼出符号の指定において,
 貴総合通信局は先週(平成19年11月26日の週),呼出符字列
 『JQ2』で始まる呼出符号が払底するにあたり,
 『JR2』を飛ばし(スキップし),
 『JS2』を指定し始めました.

 しかしこの事実は,
 平成13年1月6日総務省訓令第67号『電波法関係審査基準』に違反しているので
 はないでしょうか?

●前項に掲げる呼出符号の指定の事実を確認した資料(Web)
 http://www.tokai-bt.soumu.go.jp/musen/callsign/index.html
 コールサイン指定状況

 平成19年11月29日現在
 個人:JS2AAS(再指定) 

●問題の背景の整理
 アマチュア局の呼出符号は,当初,『JH』『JR』の呼出符字列が先行して
 使われ,以下の順番で指定されました:
  JA,JH,JR,JE,………,JS.

 今回は,再指定(払底した場合の二巡目)においての,
 呼出符字列『JH』および『JR』の指定順(指定の有無を含む)を問題とし
 ます.

●問題とする根拠1 訓令『電波法関係審査基準』における規定

 平成13年1月6日総務省訓令第67号『電波法関係審査基準』は,
 アマチュア局の呼出符字列について,
 「再指定のときはアルファベット順」であると,明記しています.
 (別表3 識別信号の指定基準 19 アマチュア局 注5.(1).)

 以下に引用します:

注
 5.この表に掲げる呼出符号(社団用のものを除く。)をすべて指定した場合
   には、新たに申請する者に対し、その時点において廃止等によって使用さ
   れなくなった呼出符号を次により指定する。ただし、2文字、1数字及び
   2文字で構成される呼出符号並びにJB、JC及びJDの呼出符号列の呼
   出符号を除く。

   (1) 呼出符字列の指定は、Jシリーズ、7シリーズの順とし、それぞれの
    アルファベットの順によること。

●問題とする根拠2 前例
 今回より前に『JH』『JR』の再指定に至った事例は全国で4回あり,
 すべて,訓令上に示されるとおり,
 「アルファベットの順」で処理されてきました:
 --------------------------------------------------------------
 (a) 『JG1』の再指定の後は,『JH1』を再指定しています.
   『JI1』ではありませんでした.(関東総合通信局)

   JG1の再指定 …… 1986〜1987年 
   JH1の再指定 …… 1987年 
   JI1の再指定 …… 1987〜1988年
 --------------------------------------------------------------
 (b) 『JQ1』の再指定の後は,『JR1』を再指定しています.
   『JS1』ではありませんでした.(関東総合通信局)

   JQ1の再指定 …… 1989〜1990年 
   JR1の再指定 …… 1990年 
   JS1の再指定 …… 1990年
 --------------------------------------------------------------
 (c) 『JG2』の再指定の後は,『JH2』を再指定しています.
   『JI2』ではありませんでした.(東海総合通信局)

   JG2の再指定 …… 1993年
   JH2の再指定 …… 1993〜1994年
   JI2の再指定 …… 1994〜1995年
 --------------------------------------------------------------
 (d) 『JG3』の再指定の後は,『JH3』を再指定しています.
   『JI3』ではありませんでした.(近畿総合通信局)

   JG3の再指定 …… 1992年
   JH3の再指定 …… 1992〜1993年
   JI3の再指定 …… 1993〜1994年
 --------------------------------------------------------------

 (a)〜(d)のうち,とくに重視したいのは (b) と (c) です.
 すなわち,(b) との対比では,

  関東総合通信局は,『JQ』のあとで『JR』を指定した.しかし今回,
  東海総合通信局は,『JQ』のあとで『JS』を指定した.……(1)

 と言え,また (c) との対比では,

  東海総合通信局は,
  かつて『JH』の際は,それを飛ばすことはなかった.しかし,
  今回は『JR』を飛ばした.……(2)

 と言えます.

●ご説明いただきたい事項
 上述のとおり,訓令上(前出の「注5.(1)」)に加え,前例上としても,
 「アルファベットの順」とされているのにもかかわらず,
 今回に限ってそれに違反し,
 『JR2』を飛ばした点につき,何らかのご説明をお願います.

 とくに,
 ・関東総合通信局との処理の相違(前項で (1) とした箇所)
 ・東海総合通信局においても過去の処理との相違(前項で (2) とした箇所)
 が発生しています.

 今回の処分によって,諸外国を含めアマチュア局に対し,日本の呼出符号の
 指定制度を説明するのに窮してしまっています.

 お手数かと存じますが,よろしくお願いします.

●歴史的な補足
 平成13年1月6日総務省訓令第67号『電波法関係審査基準』の制定以前は
 『電気通信局達4−5』(電波監理局達4−5)が呼出符号の指定基準を定
 めていました.

 しかしその時代でもすでに「アルファベットの順」とされており,
 全国初の事例となった 1987年の「JH1の再指定」から,
 貴局での前例である  1993年の「JH2の再指定」を通じ,
 今回問題とする    2007年の「JR2の再指定のスキップ」に至るまで,
 局達・訓令を通じて,その規定する内容が変更された事実はありません.

(以上です)
2007-12-07(金) その後一週間待っても,東海総通は無反応です.

そこで,本省側のWebをくりくりしていたら,『法令等遵守調査室』という,おあつらえむけの窓口があるではありませんか.
今回は「訓令」といえど,「法令等」と称するカバレッジに含まれて,何ら不思議はありません.
この『法令等遵守調査室』あてに Web から質問してみることにしました:
東海総合通信局無線通信部陸上課殿におけるアマチュア局への呼出符号の指定におい
て,訓令(電波法関係審査基準)違反が認められます.東海総通殿にはすでに以下の
とおり直接質問をお送りしたのですが,1週間たつも何の返答もいただけておりませ
ん.そこで,エスカレーションさせて頂きたく存じます.

To: info-tokai@rbt.soumu.go.jp

東海総合通信局御中

貴 Web にあります「電子メールによるご相談・ご質問」を参照し,
以下のとおり質問させていただきますので,よろしくお願いします.

【以下割愛(前出のとおりです)】
2007-12-11(火) すると,本省のほうからたちまちのうちに回答がきました!
すごい!実働1日です:
Date: Tue, 11 Dec 2007 09:58:02 +0900
From: コンプライアンス対応室
Subject: アマチュア無線局免許にあたっての呼出符号の指定について

本林良太 様

総務省法令等遵守調査室です。
平成19年12月7日(金)23:02に通報いただきました件につきまして、昨日、本省の
担当部局及び東海総合通信局に事実関係を確認いたしましたところ、御通報のとお
り、呼出符号の指定に誤りがあり、呼出符号の再発行を行う予定とのことでしたので
ご連絡申し上げます。
また、本件について、本林様のご了解を得ていませんので、関係部局にはお名前等は
知らせておりません。したがって、再度東海総合通信局にお問い合わせいただくか、
東海総合通信局からの連絡をお待ちいただければと存じます。
2007-12-13(木) 東海総通の「東海総合通信相談所」から(やっと)回答がきました:
タイトル: 【回答】質問:無線通信部陸上課における訓令違反について 
差出人: 総合通信相談所(東海) 
送信日時: Thu, 13 Dec 2007 09:00:02 +0900 

 平成19年12月2日付けのメールに対しまして、次のとおり回答させていただき
ますので、よろしくお願いします。

         総務省 東海総合通信局 東海総合通信相談所
              mail: info-tokai@rbt.soumu.go.jp

【回答】
本林 様

 ご質問のありましたアマチュア局コールサイン指定の件ですが、アマチュア無線局
のコールサインを指定するシステムの一部不具合により、間違って「JS2」のコー
ルサインを指定いたしました。
 このほどシステムを改修し、改めて「JR2」の指定を開始しております。
 今後とも情報通信行政に対し、ご支援ご協力をお願いいたします。

本件に係る連絡先
  東海総合通信局 無線通信部 陸上課
 タクシー・アマチュア無線担当
    TEL 052-971-XXXX

同日付で,発給状況が『JR2AEI』として発表されました(図右):
 → 
(この間,「12月6日付」の発表はありませんでした.)
2007-12-25 総務省の『免許情報検索』が12月1日付のデータで改版されました.
すると奇跡が!!
JS2AAA〜AASとして誤発給組が見えており,不可能と信じていたその影響範囲を完璧に把握することができました!:

このうち,
  • JS2AAD,AAJ,AAP……割り当てなし (過去半年以内の失効,転出など)
  • JS2AAQ……初代の局
ですから,犠牲者は「15名」となります.
2008-01-15 『免許情報検索』が12月15日付のデータで改版されました.

お〜,指定され直されていますね.
誤発給組JS2AAA〜AASの,JR2AAA〜AAPへの変更を見て取れます.


...しかし,想像以上にバラけているようです.
保存しておいた12月1日付のデータと比べてみました:

JR2を読み解くと,
  • JR2AAC,AAQ……初代の局
  • JR2AAR,AAS……一連の騒ぎのあとの発給:「平19.12.13」付
なのが判ります.
ここで,
  • 「名古屋市中川区」の2局
    免許内容から比定できました:

    JS2AAE→JR2AAL
    JS2AAH→JR2AAE


  • 「大府市」「春日井市」のそれぞれ2局
    免許内容が同一のため比定できません.
    のちに東海総通陸上課に照会したら,お教えいただけました(TNX):

    (大府)
    JS2AAC→JR2AAB
    JS2AAF→JR2AAD


    (春日井)
    JS2AAM→JR2AAG 
    JS2AAN→JR2AAH
――です.

どういう順番に基づけば,ここまでランダムにできるのでしょう?
やりようによっては,プリフィクスの変更だけに留めることだって,不可能ではありませんでした(除 AAC).
「免許状の回収順」なのでしょうかね??

各方面の反応

東海総通

JQ2の発給中 (JM3PLL)

次のプリフィックスは?と東海総通に質問したところ"JS2"と回答があったそうです。

JS2発表直後 (JE4TRBが電話; 再掲)

「「総務省通達でJQ2の次はJS2を発行するように」とあったので、東海総通としてはそれに従うだけ。私どもに聞かれても困る。」

「関東は関東、東海は東海、経緯がどうであれ、私たちは本庁通達に従うだけ。」

しばらく後 (JG2GSYが電話)

「どうして JR2 ではなく JS2 が、、、」
と聞くと、まだ私が話し終わらないうちに、係の人は突然慌てた様子で、
「あ、あ、あの、、、その件については、、、まだ何も申し上げられません、、、。」

TSS

JS2AAS』をそのまま転載.

JARL (JE4TRBが電話)

「東海総通がそう言うのなら、間違いないのでしょうね。私たちも意見を言える立場ではないのでね。」


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誤発給の前例


総括

“コールサインを指定するシステムの一部不具合により、間違って「JS2」のコールサインを指定いたしました。”
...いや,あの,システムの過ちを正すのが,規定を正しく理解した人間なんですけど.
(素直に「注記を見落としていました」って言えば?)

まぁ,背景は,昭和36年7月1日の

電波監理局達4−5 『地方委任局の呼出符号及び呼出名称の指定基準』

以来,改版に改版を重ね複雑化し,現場の担当者ですら理解しえていないコールサインの指定基準に問題がある――ということでしょう.


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Dec. 19, 2008, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL