Portable Designator 〜 社団局の運用者表示の根拠

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Q.Portable Designator  [JG1VGX]

UKではBR68という法令集の中で、移動時は/Pをつけろとか、モービル時は/Mとか規定されています。
FCCでもPart97の中に、移動時のコールの作成法がすこしかかれています。
たとえば、グアムに行くときはKH2/N1MHでも、N1MH/WH2でも、単にN1MHだけでもいいことが。

ところでJAの場合はこのような規定はあるのでしょうか?僕はないと思っているのですが。
つまり慣習でJG1VGX/1とかやっているだけで、規定されていないからつけなくていいし、沖縄移動はJG1VGX/6なのか/JR6なのか/JS6なのか、規定はないですよね?


A.Portable Designator  [JJ1WTL]

M/AC6IM/Mの際はたいへんお世話になりました.

規定は...ありません.(いまは.)

かつてあった規定

かつて,郵政省(当時)内で「通達」が出されたことはあります. ところが,その文書――郵波陸第261号(昭和30年2月9日)――について,総務省に言わせると,こういうこと↓でした:

で,その文書というのは,以下のものです.「4」項に注目して下さい.



“失効”にも関わらず,いまだにこの古い通達が引っ張り出されて示されることがあり,混乱に輪をかけています(例: CQ誌2009年10月号DX Newsのコラム).

2002年10月時点の,JARL見解

JL3AMKの質問に対する,JARL運用課の見解: “慣習に基づくJARLの推奨”
http://web.archive.org/web/20160723114012/http://www.jl3amk.org/ja/misc/memo.htm#_3

おたずねの件ですが、おっしゃるように以前では電波監理局(現総合通信局)においても常置場所以外で運用する場合には、コールサインの後に、移動エリアを追加してどのエリアから運用しているかがわかるようにとか、車から移動運用している場合は同様にモービルを追加、船からならマリタイムモービルとか、言うように「行政指導」がありました。

しかし、現在ではこれはなくなっています。したがって、現状ではコールサイン以外に付加する必要は法的にはなんらありません。
ただ、JARLとしては、いままでの無線の慣習もありますので、今までどおりの運用方法を推奨はしております。

2017年6月時点の,JARLの見解

JARL社員総会での,JF8DSNからの「“ポータブル”表示の明確化」に関する準備書面についての,専務理事の答弁:  “特段の指導せず”

「付ける」のが推奨の時代があった.特段の指導は行っていない.免許人・局の管理者の判断.考え方が変わっている.

かくして「ポータブル表示」は,“慣習に基づくかつてのJARLの推奨”ということになりました.

「通達」とは本来,行政機関(この場合郵政省)の,内部の指針です.
しかし実態として,エンドユーザに対して法令と同様の役割を果たし,義務や規制を余計に課すことになっていました.
そして,徐々にそれが問題視されるようになりました.
とくに,そのような中 設けられた『行政手続法』(1993年)では,「法令を根拠としない行政指導・行政行為については,したがわなくとも不利益処分を受けない」などのように定められ,「通達」の立ち位置が整理されました.

この面からは,「『ポータブル』の“通達”は失効しています」という総務省からの回答は,合点がいきます.


社団局の運用者表示の根拠  [JJ1WTL]

類似の話として,クラブ局でオペレータ名を付すようにしている根拠は, 以下のとおり――郵波陸第1132号(昭和34年12月25日)――でした. しかし,こちらもやはり効力を逸しています.




参考.「効力」を巡っての総務省とのやりとり

前出の二つの文書の『開示決定』の連絡 (最後の2行に注目)


『行政文書の開示の実施方法等申出書』に付した質問


『開示実施』の連絡 (最後の3行に注目)


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June 30, 2017, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL