外国人が運用できた記念局――8N秘話 [JJ1WTL]

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8N」が意図したもの

8Nの初出は,1983年の8N1WCYでした.
もともと8Nは,つぎのような意図で割り当てられていた形跡があります:

もちろん,明文化はされていません.
とりあえず,以下に時系列でまとめてみましょう:

外国人が運用できた記念局・沖縄の記念局,2005年以前
外国人が運用できた記念局沖縄の記念局左記以外の8N
コールサインイベントコールサインイベント
19718J1WJボーイスカウト世界ジャンボリー  
19738J3ITUCCIR京都総会  
1975-76 JR6RL沖縄海洋博 
19838N1WCY世界アマチュア無線国際会議  
19858J1XPOつくば万博  
1991 8N6ARLJARLゆがふ総会 
19948N1APTAPTアマチュア無線セミナ  
8N3ITUITU京都全権会議
19988N0WOG長野冬季オリンピック  
2000 8J6SMT九州沖縄サミット8N2000
2001 8J6FTY沖縄アマチュア無線40周年 
8N6WUF世界のウチナーンチュ大会
2002 8N6THY沖縄返還30周年8N1C,8N3C, 8N1HAM, 8N1OGA, 8N2JHQ, 8N3JHQ, 8N3DNP, 8N3LIO, 8N3ISS
2003  8N3KAN, 8N6ASM, 8N1HAM, 8N2JHQ, 8N3JHQ, 8N1SAI, 8N3HAM, 8N3HES, 8N1ISS, 8N3ISS, 8N4ISS
2004  8N1NGO, 8N1NSSAI, 8N3KAN, 8N7EMC, 8N0ITO, 8N0SON, 8N1HQ, 8N1HQ, 8N3HQ, 8N4HQ, 8N0HQ, 8N3IKD, 8N3HAM, 8N3RI, 8N3DNP, 8N6A
20058J2AI愛知万博 8N1NGO, 8N1C50A,8N1MOMO, 8N2005HM, 8N3KAN, 8N3117EQ, 8N5ICT, 8N7JPHC, 8N03ARDF, 8N1HQ, 8N1HQ, 8N2HQ, 8N2HQ, 8N3HQ, 8N3HQ, 8N4HQ, 8N7HQ, 8N8HQ, 8N7JARL, 8N3X, 8N3BSN, 8N3DNP, 8N380N, 8N3A, 8N3H, 8N2AI, 8N5ARISS

このうち,2000年の8N2000は,8J2000・8M2000とサフィックス(?!)を整えるための「“例外”の8N」と位置づけることにしましょう.
すると,8Nの外国人運用・沖縄という“意図”は,2002年から崩れ,汎用化されてきたことがわかります.

JARLも,#461理事会(2003年6月28〜29日開催)において,「記念局開設の申出者が8J8Nの何れでも希望できる」こととし,いまでは珍しくなくなりました.(2002年の8Nは,(1) 連盟本部主導のもの,(2) non-JARLの記念局,(3) ARISSスクールコンタクトのための臨時局 だけなのが見て取れます.)

ややこしいのは,2002年より前でも,8Jでも外国人が運用できたり・沖縄の記念局があったりした点です.

特設局8J6SMTの非公式ホームページ
http://www.ryucom.ne.jp/users/jr6tpd/8j6smt.htm から引用:

★当初、沖縄郵政管理事務所へ申請した希望コールサインは、『8N6SMT』だったのです。
 しかし、交付されてきたのは平凡な『8J6』。 関係者そろって、ちょっとガッカリです。

8Nが選ばれる理由としては,以下のようなものでしょう(筆者想像):
8Jよりは,まだちょっと珍しい.
・モールスで打つと,8Jよりも8Nのほうが短くて,有利.
・イベント自体がNにちなむ.例:のじぎく(Nojigiku)兵庫国体(Kokutai)の8N3K


外国人が運用できた記念局 詳細一覧

外国人が運用できた記念局
コールサインイベント郵政省告示 (2005(H17)年の8J1AIのみ総務省告示)
名称主催記念局開設許可期間告示日番号見出し電波法施行規則条文番号
8J1WJ第13回世界ジャンボリー(財)ボーイスカウト日本連盟日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ 1971.8.2〜10S46.8.2569 電波法施行規則の規定により無線従事者の資格を要しない場合を定める件33条14号
8J3ITU国際無線通信諮問委員会(CCIR)第14回総会国際電気通信連合(ITU)JARL 1978.6.7〜23S53.6.7377 電波法施行規則第33条第14号の規定により,無線従事者の資格を要しない場合を定める件
8N1WCY世界アマチュア無線国際会議郵政省,JARLJARL 1983.9.19〜25S58.9.7691 電波法施行規則第33条第1項第14号の規定により無線従事者の資格を要しない場合を定める件33条1項14号
8J1XPO国際科学技術博覧会(財)国際科学技術博覧会協会JARL 1985.3.17〜9.16S60.3.15175 電波法施行規則第33条第1項第14号の規定に基づき,無線従事者の資格を要しない場合を定める件
8N1APTAPTアマチュア無線セミナーアジア・太平洋電気通信共同体(APT),郵政省,JARLJARL 1994.6.10〜17H6.6.10338 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める件34条10号
8N3ITUITU京都全権委員会議国際電気通信連合(ITU)JARL 1994.9.17〜10.14H6.9.5473 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める件
8N0WOG第18回オリンピック冬季競技大会国際オリンピック委員会(IOC)JARL 1998.1.24〜2.22H9.12.17650 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める件
8J2AI2005年日本国際博覧会(財)2005年日本国際博覧会協会JARL 2005.3.25〜9.25H17.3.9277 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める件

法的根拠

『電波法施行規則』には,総務大臣が告示すれば, 従事者免許がなくてもアマチュア局を操作できる――という抜け道の規定があります(時期により「郵政大臣」):

■電波法施行規則第34条の10(アマチュア無線局の無線設備の操作の特例)
法第三十九条の三ただし書の総務省で定める場合は、 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、総務大臣が別に告示する条件に適合するときとする。

話が横道にそれますが,この根拠は『ARISSスクールコンタクト』の臨時局(以下)とおなじものです.

■平成14年3月22日 総務省告示第154号(H19告示702で改正)
国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことによって科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として社団が臨時に開設するアマチュア局(アメリカ航空宇宙局が承認した組織により当該通信に係る日時等が割り当てられており、 当該通信を行うことに関して教育に資するものとして教育委員会等の後援、推薦等を受けている場合に限る。)の無線設備の操作を、 次に掲げる条件により学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十三条第十八条[H19告示702]に規定する学齢児童及び同法第三十九条第二項に規定する[H19告示702]学齢生徒が行う場合
一 当該アマチュア局に選任されている無線従事者である第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士、第三級総合無線通信士、第一級アマチュア無線技士又は第二級アマチュア無線技士の立会いの下で行う無線電話の操作(連絡の設定及び終了に関しない通信操作並びにこれに付随して行うプレストーク方式による送受の切替えに限る。)であること。
二 当該操作に立ち会う無線従事者が行うことができる無線設備の操作の範囲内であること。

話を本題に戻すと,外国人による記念局の運用を許可するたびに, 上表のとおり時限立法的に『告示』が出されてきました. このとき,いずれの例も条件は以下のようになっていました:

ここで“証明書”というのは改めて用意するものではなく,通常のアマチュアの免許証そのものを指しているようです.

いまでは「ゲストオペ制度」がありますから,このようなワザも需要が減っているかも知れません. しかし,相互運用協定の締結国「以外」のアマチュアに,記念局の運用を許そうとするなら,今後も設定される可能性があります.


告示の例(8J2AI)

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Apr. 4, 2009, Ryota "Roy" Motobayashi, JJ1WTL