下図のとおりです.
何回か切り替えがありました.
下表にまとめ,順を追って説明します.
項目\切替日 | ………… | S3.10.20 (新設局への適用) S4.1.1 (既存局の切替) | ………… | S9.2.1 | ………… | S11.12.1 | ………… | ||||
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関東・静岡 | JX$X形式 | J1 | J2G-Z | ||||||||
新潟 | J6 | J2G-Z | |||||||||
電話の局 | 『呼出名称』を付与 | 『呼出符号』を付与 |
1927(S2)年9月10日以来,「JXAX~JXIX」の形で与えられていました.
つまり,コールエリアの概念はありませんでした.
またそれ以前には,以下のような発給例があります:
・JFWA 安藤 博(T12)
・JFPA 安藤 博(T12)
・JBJB 河原 清(T14)
・JLZB 楠本 哲秀(S2)
・JLYB 有坂 磐雄(S2)
・JMPB 國米 藤吉(S2)
「1×2形式」のコールサインが指定されていました.
上図のコールエリアマップがこれに当たります.
J1の全局は,1934(S9)年2月1日にJ2G~へ移行しています.
無論それまでに廃局・失効となっている分は除きます.
ただし,小山送信所のJ1EWだけは移行しなかったようで,S10年版の無線局一覧にもJ1EWとして載っています.
これは,第4回マドリッド国際無線電信会議(1932(S7)年)の結果, 私設実験局のコールサインで0, 1の使用が禁止されたことによります:
"one or two letters and a single figure (other than 0 or 1) followed by a group of not more than three letters, in the case of private experimental stations, amateur stations and private radiocommunication stations; the prohibition of the use of the figure 0 and 1, however, does not apply to amateur stations."
...つまり本来は,セミコロン以降にあるとおり,「アマチュア局であれば0, 1を使ってもいい」規定なのです.
ところがこの当時の日本は,いわゆるアマチュアを「アマチュア局」としてではなく,「私設実験局」と位置づけていました.
そこで,私設実験局に関する規定に従って,0, 1の使用を禁止したのです.
余談ですが,この規定は70年たったいまでも生きています.
現在,実験局とアマチュア局とでコールエリアナンバーが異なっているのは,このときできた規定に起因しています.
(戦後は,めでたく「アマチュア局」と位置づけられました.)
実験局では,0, 1を使いません:
関東 | 信越 | 東海 | 北陸 | 近畿 | 中国 | 四国 | 九州 | 東北 | 北海道 | 沖縄 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
実験局 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 7 |
アマチュア局 | 1 | 0 | 2 | 9 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 6 |
こんな例示をすればいいですかね?
例――エリアナンバーは2ですが,すべて「関東」管内です:
・JO2C ラジオきらっと(科学万博放送局)
・JG2AS いまの長波帯JJYの前身
・JG2XA 電通大の「HFドップラ・プロジェクト」
1936(S11)年10月15日,「東京逓信局」が「東京都市逓信局」と「東京地方逓信局」とに分割されました.
これに合わせ,それまで「仙台逓信局」の管轄だった「新潟県」が,「東京地方逓信局」に組み入れられました.
両者の管轄は以下のとおりです:
・東京都市逓信局 …… 東京・神奈川,
・東京地方逓信局 …… それ以外の関東・静岡・新潟.
この際,新潟県の全局は,コールサインをJ6からJ2G~に変更させられました.
例: J6CX → J2NW
このコールサインの変更は,移管と同時ではなく,1936(S11)年12月1日付でした.
ところで,「東京都市逓信局」と「東京地方逓信局」の間では,コールエリアの区別はなかったようです.
しかし観察すると,晩年(1937(S12).12~)には東京地方逓信局がJ2X-Zに限って付与しているように見えます.
「呼出名称」が指定されていました.
つまり言い換えると,「電話だけ」の局は,いわゆるコールサイン(呼出符号)を持っていませんでした.
「電話」の局に対しても呼出符号が与えられるようになりました.
従来「電話だけ」だった局には,この時点であらためて「呼出符号」が指定されました.
例:
・"若尾孝太郎" → J2JW
・"前川国威" → J2JY
名古屋逓信局(J2C-F)が1934(S9)年11月からコールサインの再利用に乗り出したのを皮切りに,その後,東京(東京都市)(J2G-Z),大阪(J3),仙台(J6)の各逓信局で再利用をしています.